自律型総務の立ち上げプロジェクト!業務可視化とワークショップで作り上げる“ありたい総務”|三浦電気工事株式会社

自律型総務の立ち上げプロジェクト!業務可視化とワークショップで作り上げる“ありたい総務”|三浦電気工事株式会社

福島県いわき市に本社を置く三浦電気工事株式会社は、1939年の創業以来、「安心、信頼、実績」を大切にしながら電気工事事業を行っています。

業務分掌が曖昧で非効率な組織体制に課題を感じていた三浦電気工事株式会社様は、業務実態に応じた最適な組織への再編および社員の自発性をより高める組織文化にシフトしたいとゼロインにご相談いただきました。

そこでゼロインは、業務可視化・分析、業務整理・体制構築支援、自律型組織づくりのワークショップ、業務マニュアル作成を通じて、総務部の立ち上げと、新体制での運用開始に向けた実行支援をお手伝いしました。

バックオフィス業務が複数部署に分散・属人化していた状況から、どのようなプロセスを経て、総務部を立ち上げたのか。専務取締役 三浦雅裕さん、事業部長 堀川清司さん、総務部課長 渡邉恵理子さん、経理部課長 吉野あつ子さんに、新しい組織に対する想いやゼロインのプロジェクトについてお聞きしました。

お客様情報

社名
三浦電気工事株式会社
業種
電気工事
設立
1939年8月
従業員数
約50名

導入の目的・背景

  • バックオフィス業務・体制の適正化に向けた業務可視化
  • 属人化業務を把握、適正な業務分掌・役割の設計
  • 慢性的な残業の削減(原因の特定、具体的な対策の企画・実行)
  • 総務部の立ち上げ、全社に分散する共通業務の集約
  • 戦略的な業務に主体的に取り組める自律型組織づくり

ゼロインのサポート内容

  • 5部署13名の業務可視化・分析(業務一覧、属人化率、工数、業務難易度など)
  • 自律型組織の実現に向けたワークショップ設計・ファシリテート
  • 業務可視化にもとづく新体制の提案・構築支援(業務分掌、必要人数の算出、スケジュール策定、マニュアル作成など)

サポート概要

総務コンサルティングサービスのサポート概要
総務コンサルティングサービスのプロジェクトの全体像
総務コンサルティングサービスのサポート前後の運営体制の変化

バックオフィス業務が複数部署に分散し、無駄が発生していた状況から組織再編が必要に。「会社を変えたい」という想いからはじまった、総務部の立ち上げプロジェクト

ゼロイン:今回のプロジェクトは、どのような課題感から、ゼロインにお声がけいただいたのでしょうか。

三浦専務:当初、経理部、業務部、営業部、設計積算部が存在していましたが、業務の区分けが曖昧で、各部で類似業務を別々に行っていました。

たとえば、経理部と業務部でそれぞれ金銭関連の業務を行い、経理部は総務関連の業務を、業務部は営業部の契約書や請求書処理業務を営業部と重複して行っている状況でした。どの部署が何の業務を担当しているのか不明確だったため非効率的になっており、業務を切り分けた方が良いと考えていました。

専務取締役 三浦雅裕さん専務取締役 三浦雅裕さん

堀川部長:責任範囲が明確でないため、新しい業務が発生した際に、業務が宙に浮いてしまう状況も発生していました。当然、どこかの部署が担当しなければなりませんが、担当することになった部署は「自分の仕事ではないのに」と、気持ち良く業務に取り組めない状況でした。

事業部長 堀川清司さん事業部長 堀川清司さん

ゼロイン:そうした状況に陥った原因は、どのようなところにあったのでしょうか。

堀川部長:誰が責任者で、誰に裁量権があるのかが不明確で、役割に応じた権限を委譲できていないことが原因でした。確認や最終承認先がすべて専務になっていたことも理由の一つです。専務は常に在席しているわけではないので、確認に時間がかかり、業務が滞ってしまうことがありました。

渡邊さん:部署間においては、部署同士が互いの担当業務を知らない状態で運用されており、全社で統率された体制になっていませんでした。複数部署で同じ業務を行っていることが多々あり、無駄が発生していたのですが、相談先も分からない状態でしたし、解決に向けて部署間でコミュニケーションを取ることもありませんでした。疑問に思うことがあっても、自分だけで解決して終わっていました。

総務部課長 渡邉恵理子さん総務部課長 渡邉恵理子さん

三浦専務:新しいやり方を取り入れようとしても、これまでのやり方が正しいと考える保守的な考え方も一部にはあり、社員の中には改善提案が通らないと諦めている人もいたようです。

若手社員から直接相談を受けることもあり、内容によっては私が意見して状況を変えるという形になっていました。しかし、変化の理由が「経営から指示されたから」という理由のみになってしまうと、組織にはモヤモヤが残ってしまいますし、モチベーションにも影響します。

私から直接指示をするのは良い進め方ではないと感じていたので、社員一人ひとりがみずから考えて、自分たちで新しい形を築き上げていくやり方で進めたいと強く思っていました。

ゼロイン:三浦専務からゼロインのウェブサイト経由でお問い合わせいただきましたが、どのような流れでゼロインへの依頼を決定いただいたのでしょうか。

三浦専務:「総務コンサル」と検索して表示された複数社に問い合わせました。結果、ゼロインさんともう一社と商談を行ったのですが、ゼロインさんは私たちに寄り添う姿勢が非常に印象的でした。

当社は福島県に所在し、東京から距離があるのですが、対面での打ち合わせを希望していました。他社様は原則ウェブ対応で前向きな返答をいただけなかったのですが、ゼロインさんは「行くのが当たり前です」と、私たちの要望に前のめりに応えてくださりました。

私自身、「会社を変えたい」「変わらなくてはいけない」という強い想いを持っていたので、堀川と方向性を固め、社長に総務部を作りたいという提案をして予算を確保し、ゼロインさんへの発注が正式に決まりました。

ゼロイン:ゼロインのコンサルタントは、理論を並べるだけでなく、現場に入り込み、お客様と一緒に組織づくりを行うことが特長です。ゼロインにはどのような期待がありましたか。

三浦専務:コンサルタントとお話をする中で、業務や体制だけでなく、組織や人のマインドセットを変えてくれそうだと感じていました。慣例を変化させていこうとすると、ときに心が折れてしまいそうな場面があります。しかしゼロインさんは、社員が前向きな気持ちになるような言葉をかけてくださり、コミュニケーションが上手いと感じました。

また、「社員の意見を全部引き出してください。専務という立場上、私に言いづらいことを抱えていると思います。社員が抱え込んでいることがあれば、そういったことも沢山聞いてください」とお願いをしていました。私よりも第三者であるゼロインさんの方が話しやすい内容もあると思いますので、社員が何でも話せるように、ゼロインさんにはオープンでいてほしいとも伝えました。

専務取締役 三浦雅裕さん

ゼロイン:渡邉さんと吉野さんは当初、主任の立場でプロジェクトに参加しました。このお二人には、どのような期待がありましたか。

三浦専務:組織の指示系統を明確にした際に、二人は上に立ってもらう人材だと考えていたので、上に立つ覚悟を持つことを期待していました。社歴が上の社員や若い社員に対して、手を抜くことなく、ときには厳しい事を言える人にならなくてはなりません。会社としても個人としても、現状維持ではなく、「変わらなければいけない」という気持ちが必要でした。

バックオフィス組織全体の現状把握、総務の“ありたい姿”の言語化を行い、総務部の立ち上げをサポート

総務コンサルティングサービスのプロジェクトの構成と役割

本プロジェクトは業務の可視化、総務の“ありたい姿”策定ワークショップ、実行支援の3つのステップで、9か月にわたって実施しました。

業務可視化・分析により、バックオフィス業務における課題を特定。属人化率、工数、業務難易度を数値化したことで、総務部に必要な業務量・スキルが可視化

総務コンサルティングサービスの自律型総務立ち上げの流れ

現在行われているバックオフィス業務のカテゴリ・工数・業務水準を把握するために、業務ヒアリング、業務量・難易度を調査。

総務コンサルティングサービスの業務データサンプル(一部抜粋)

業務一覧、組織全体の工数、個人別の工数、業務難易度、業務担当領域を可視化したレポートを作成。

業務難易度の定義

業務を難易度別に分類し、実務運営における課題を洗い出しました。

  • 高:熟練者又は資格・役職を有する業務
  • 中:高にも低にも当てはまらない業務
  • 低:一度業務を教えると誰にでもできるレベルの業務

ゼロイン:業務可視化を通じて取得したデータから、たとえば吉野さんが対応する経理業務は「中」難易度の業務が多いことが読み取れました。現場で実務を担当されていた吉野さん、渡邊さんは、データをご覧になってどのように感じられましたか。

総務コンサルティングサービスの数値データ(部署別の業務難易度)

吉野さん:データを見て、本当に危機感を覚えました。ですので、業務をメンバーに割り振って自分の手を空けることで、現在の状況を変えていかなければと思いました。

こうして業務内容や工数が可視化されたことで、適切な部署や人へ仕事を割り振ることができるようになりましたし、現時点で自分しか対応できない業務であっても、マニュアル化に取り組み、対応可能な人を増やせれば、さらに手を空けることができます。

可視化によって変革の方向性が見えたことで、マニュアル作成や新しい取り組みをがんばろうと思えました。このプロジェクトがなかったら、どうなっていたのかと思います。

経理部課長 吉野あつ子さん経理部課長 吉野あつ子さん

渡邊さん:私も属人化がずっと気になっていたのですが、あらためてデータとして可視化されたことで、「この属人化をなくしていきましょう」ということを、周りに言いやすくなりました。

属人化している自分の業務は、自分だけで対応するのは止めようと思いましたし、誰でも対応できるように難易度を下げる取り組みを、組織全体で行うことが必要だと分かりました。
また、今まで業務毎にどれくらいの時間が必要かを意識することはありませんでしたが、業務工数まで可視化されたことで、適切な業務の割り振りができるようになりました。

これによって、新人でも対応時間の目安をつけることができるので、育成スケジュールが容易に立てられます。これまでは自分の経験から感覚的に業務を依頼していたので、根拠が明確になり助かりました。新人が何の業務ができて、何ができないのかも把握しやすくなっています。

堀川部長:部署の業務一覧化は、若手育成のカリキュラムとしても効果的に活用できています。業務の全体像が分かると、新人に「1年の間にここまで対応できるようになろう」と進め方も含めて具体的に伝えられるので、新人の納得度も高まっていると思います。やはり、可視化されたデータがあると他の社員に対して説明しやすいですよね。

また、総務のプロであるゼロインさんが客観的に分析した結果ですので、「このままでは駄目だ」「業務や組織を変えていこう」という方針の大義名分にもなります。

たとえば、これは「工事」に分類される業務をどの部署が行っているかの業務対応表ですが、同じ業務を複数部署が横断して行っています。

総務コンサルティングサービスの「工事」に分類される業務の部署別対応表

本来は各部署の専門性に応じて、リレー形式で業務を受け渡すものです。こうして実態を正しく把握できるので、改善に向けて効果的に取り組めます。

ゼロイン:業務を可視化することで、やるべき仕事に注力できる、属人化の解消に向けて取り組める、育成ステップが明確になる、といった効果を得られたのですね。

可視化データをもとに、総務部が対応する業務範囲と工数を明確化。総務部を2名体制で運営する方針に決定。「総務のありたい姿」を言語化するプロセスで組織に変化がうまれた

ゼロイン:可視化データをもとに総務部の立ち上げが決定し、総務業務の範囲、体制の方向性が定まったところで、「総務のありたい姿」を言語化するワークショップを行いました。このワークショップでは、「新時代の三浦電気工事のイメージ」「どのような総務でありたいか」など、総務の“ありたい姿”について当事者である部署のみなさんでディスカッションを重ねました。

総務コンサルティングサービスの自律型総務立ち上げの流れ
総務コンサルティングサービスの新時代の三浦電気工事のイメージ
総務コンサルティングサービスのどのような総務でありたいか

ゼロイン:このワークショップと同時期に、渡邉さんが総務課長、吉野さんが経理課長に昇進する体制が決まりました。ワークショップは専務や部長は原則参加せず、総務と経理の組織長となるお二人を含めたプロジェクトメンバーが主体となり進められましたが、いかがでしたか。

渡邊さん:これからは総務部として、自分たちで会社の方向性を決めていかなければいけない、ということに気づきました。これまで、こうした意思決定は決定権が曖昧で、その際は別部署の吉野さんを頼って行動していました。それが今回、総務部が新たに確立されたことで、総務部は周りに提案し、決定できる立場にあることを自覚しました。

吉野さん:ワークショップではメンバーからさまざまな意見が出ましたが、プロジェクト開始以前に同様のことを行っても、ここまで意見は出てこなかったと思います。ワークショップをきっかけにメンバーと毎週のように会話をするようになり、私だけでなくメンバーにも気持ちの変化がありました。

自分の素直な気持ちや「こういう部署にしたい」という想いを話す機会が増えたことで、意見を言いやすくなったのだと思います。ワークショップを重ねる中で、総務部が少しずつできあがっていく感覚がありました。

総務コンサルティングサービスの総務部のありたい姿
総務コンサルティングサービスの新体制とありたい姿

吉野さん:プロジェクトを経て、自分自身が大きく変化したと思います。これまでは、言われるがままに仕事をこなしていた部分があり、業務の幅を広げすぎていました。これからは経理部として、収益の可視化と利益拡大サポートを通して会社を支えることに注力したいと思っています。

今回のプロジェクトを通じて明確な目標ができたことで、自分たちが変わらなくてはいけないと危機感も持ちました。経理部のみなさんと一緒にがんばっていきたいので、そのためにも自分自身がもっと勉強しなくてはいけないと思っています。

渡邊さん:新たな体制になったことで相談先が明確になり、仕事がしやすくなりました。総務部としての仕事はこれから始まるので、みなさんと考えた“ありたい総務部”を着実に作り上げていきたいですね。

ゼロイン:プロジェクトの最後には、“総務のありたい姿”と新しい体制について、お二人から三浦専務と従業員に対して「宣言」という形で報告がなされました。新体制トップのお二人から力強い言葉が出ましたが、三浦専務はどのように感じていますか。

三浦専務:二人から「どんどん新しいことを提案して、効率化を進めようと思います」という言葉を聞いたとき、二人の気持ちの変化を感じましたし、これからも変化していくのだろうと頼もしく感じました。

私は今回のようなプロジェクト機会を提供することはできますが、社員がプロジェクトに参加して実際にどこまで変化できるのか、正直不安はありました。

「三浦電気工事は今までこうだったから、このままで良い」と思われてしまう可能性もありましたが、このプロジェクトを通して社員や風土は確実に良い方向に変化しています。新しい視点やスタンスで、これまで気づかなかった社内業務の効率化や変革がより進むことを期待しています。

ゼロイン:未来の三浦電気工事のありたい姿についてお聞かせください。

総務コンサルティングサービスの三浦電気工事のありたい姿

堀川部長:世の中は劇的に変化を遂げているのに、当社はなかなか変化できず、昔のまま古い体制・風土になっていました。社員も自分の考えを言いにくい雰囲気で、新しいことを取り入れられず、変化に取り残されてしまうのではないかと感じていました。
それが、今回のプロジェクトを経て新体制ができ、変化の方針も定まりました。これからはコミュニケーションを活性化させて、積極的に意見交換を行いながら若手がのびのびと成長できる働きやすい職場を作りたいと思います。まずは新体制を安定運用させ、みんなで考えた“ありたい姿”を実現し、社員一人ひとりが幸せに楽しく働いている環境を目指していきます。

そして、「いわきの電気工事業者と言えば、三浦電気だ」といわき市のみなさんに思っていただけるよう、会社全体としてもさらに進化をしていきたいと思います。

担当者の想い(コンサルタント)

本プロジェクトに関わったみなさまが、組織の変化を実感し、新たな体制で走り出していることを嬉しく思います。プロジェクトの開始前に三浦専務と堀川部長から、会社を良くしていきたいという強い想いを伺い、みなさまの想いを形にした三浦電気工事様らしい総務部をつくりたいと感じました。

会社のありたい姿と新たな総務に対する期待をディスカッションする中で、組織が良い方向に変化していく感覚をみなさまと共有できたことが非常に良かったと思います。

プロジェクト開始前は、組織がどのように変化するのかという不安な想いもあったかと思います。プロジェクトを経て、渡邉さんと吉野さんが組織をけん引する立場として、総務部と経理部のありたい姿を力強く語る姿を拝見し、感慨深い気持ちになりました。

みなさま自身が「自分たちで会社を変えていける」という確信を持てたことで、これから更に変化をし続ける強い組織になると信じています。私たちはそのフェーズに合わせて、コミュニケーションやオフィスづくりの面でも広くお手伝いができると嬉しいです。これからも進化し続ける三浦電気工事様を楽しみにしています。

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