戦略総務に求められる新しい総務の仕事|月刊総務×ゼロイン(2/3)

株式会社月刊総務の代表取締役社長 豊田 健一さん(左)と株式会社ゼロインの代表取締役 大條充能(右)

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戦略総務に求められる新しい総務の仕事

会社の中で高い価値を発揮する「考える総務」

豊田 最近では、人事や経理だけでなく総務もテクノロジー活用やアウトソーシングが進んでいます。今後は管理部門全体がひとつにまとまり、戦略管理部門のような体制になると予想しています。この戦略管理部門は取り扱うテーマが多いという特性から、現在の総務が主導していけるとも考えています。

一方で、総務部門を対象にアンケートを実施してみると、10年前もいまも「業務の効率化がもっとも重要である」という結果が出ます。この結果から、目の前の業務が整理されておらず、戦略総務として全社を牽引できている総務はまだ少ない実態が垣間見えます。

『月刊総務』編集長 豊田健一氏『月刊総務』編集長 豊田健一氏

大條 これまでの仕事の仕方を続けているだけでは変化に対応できないと感じている総務の方が増えているのだと思います。豊田さんは多くの企業で総務の方にインタビューされていますが、会社の中で高い価値を発揮できている総務はどのような総務なのでしょうか?

株式会社ゼロイン 代表取締役 大條充能株式会社ゼロイン 代表取締役 大條充能

豊田 「考える総務」が価値を発揮しています。日常業務や管理業務を担当してミスなく仕事をすることは大前提ですが、そうした第一品質にくわえて企業成長や社会変化への対応を考えることに時間を割いている総務は良い動きをしています。考える時間を設けられる状態は心にも余裕が生まれ、いろいろな準備を前倒しで対応できています。

大條 総務担当の方からは「何を考えればいいのか分からない」という声を聞くことがあるのですが、「考える総務」はどのような観点で考えを膨らませているのでしょうか?

豊田 まず経営者と積極的にコミュニケーションを取っていますね。会社の経営計画や事業戦略を深く理解して、その計画や戦略にもとづいた対策や施策を総務が実行できていると社内からしっかりと評価されます。今後、総務は経営者との対話をより一層求められるでしょう。

大條 その会社が置かれている状況によって、総務が考える内容や施策も異なりますよね。自分の会社がどこに進もうとしているのかを誰よりも理解することが重要になりますね。

豊田 総務が一生懸命に考えて変わろうとしても、会社の方向性を理解していなければ総務に求められる役割を定められないですからね。

大條 その意味で、総務に求められる価値は「いまの仕事を安定的にミスなく管理する」ことから「企業が進もうとしている方針を先取りして実行する」に変化しているということですね。

総務アウトソーシング企業に必要な現場経験と再現性

豊田 戦略総務では総務自身が変化に積極的に向き合う必要があります。何かを変えようとするときには既存の枠組みにとらわれず、ゼロから考え直す思考や姿勢が重要だと痛感しています。

大條 ゼロインは多様なお客様の総務業務を受託してきましたが、総務の中には業務の本質が把握されずに慣例で機械的に対応されている業務が少なくありません。たとえば「お中元・お歳暮」あたりの目的を答えられる総務の方は、非常に優秀な印象があります。

当たり前に対処している業務の中には、業績につながらない、必要のない業務も混在しています。何を目的に業務をおこなっているのかという疑問を常に持ち、日常的に気づけることが業務効率化の第一歩につながると思います。

豊田 業務の可視化が大事であるとよく言われますが、可視化する際には業務項目だけでなく目的まで可視化することが不可欠ですね。本来必要のない業務はプロセスを可視化する必要すらありません。この可視化をおこなう際は、既存の社員だけでなく第三者の客観的な視点が重要だと思っています。

私がインタビューしたある会社では、営業部長を担当されていた方が総務部長に異動したことで総務が劇的に変わったそうです。総務外からの視点で作業や管理業務が合理化され、社員が注力するべき「考える仕事」に時間を割けるようになったのです。いま以上に総務が活躍できるよう、より多様な知識やスキルを身につけていけるといいですよね。

大條 AIやRPAによって業務の自動化が進んでいく時代に、総務が価値を発揮するためには「戦略総務」として経営課題を先取りしながら、業務をゼロベースで合理化することが求められます。これは非常に難しい仕事ですが、総務のみなさんにはぜひチャレンジしていただき、総務の新しい価値を生み出していきたいですね。

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