企業にとって、事務業務の効率化は大きな課題の一つです。労働人口の減少によって新卒・中途採用の競争は激化しており、派遣社員の確保・契約維持の難易度も高まっています。限られたリソースで企業運営を実現するためには、自社内ですべての業務を完結するのではなく、外部サービスの積極的な活用も選択肢として考えられます。
特に、定型業務で反復作業が多く含まれる事務業務をアウトソーシング(業務委託)することで得られるメリットは計り知れません。ただし、非常に便利で効果の高いアウトソーシングですが、その活用には押さえておくべき注意点があります。
そこで本記事では、事務アウトソーシングの業務内容、メリットや注意点、料金相場、委託先業者の選び方まで、企業の事務・総務アウトソーシングのプロである株式会社ゼロインが、幅広く解説します。
「ゼロイン バックオフィス支援事例集」資料ダウンロードはこちら
「5分でわかるゼロインアウトソーシング」サービス資料ダウンロードはこちら
目次
事務作業におけるアウトソーシングとは事務アウトソーシングの業務内容経理人事総務営業サポート・営業アシスタント一般事務ウェブ・マーケティング業務事務アウトソーシングのメリットメリット1:コア業務に注力できるメリット2:コストの削減メリット3:業務クオリティの向上事務アウトソーシングのデメリットデメリット1:業務のブラックボックス化デメリット2:情報漏洩のリスクデメリット3:ノウハウを蓄積できない事務アウトソーシングの料金形態・料金相場事務アウトソーシングの料金形態事務アウトソーシングの料金相場事務アウトソーシングの課題解決事例課題1:季節による業務量の変動に対応できる体制づくり課題2:慢性的な人手不足を解消してミスを削減課題3:作業レベルやサービス品質の確保で、従業員満足を向上事務アウトソーシング導入における注意事項注意事項1:業務フローと責任範囲の明確化注意事項2:定期的な情報共有注意事項3:情報漏洩リスクへの対策事務アウトソーシングサービスの選び方選び方1:豊富な実績と経験選び方2:スキルの高さ選び方3:コストが低い事務アウトソーシング・事務代行の事例オフィス訪問とオンライン対応を組み合わせ、入退社業務と契約情報管理業務を柔軟にサポート |Atlas Technologies株式会社まとめ近年、業務効率化や生産性向上、従業員のやりがい向上を目的として、アウトソーシングを活用する企業が増えています。アウトソーシングは、社内における業務の一部から全部を、外部の専門企業に委託するサービスです。
企業の業務は、生産や営業など売上・利益に直接つながる「コア業務」と、バックオフィスや庶務・アシスタントの方が担う「ノンコア業務」の二つに大きく分類できます。コア業務とノンコア業務、それぞれに多様なアウトソーシングサービスが存在していますが、ノンコア業務のアウトソーシングは導入難易度が比較的低いものの、売上・利益に直接貢献するコア業務に貴重な社内リソースを集中させることで高い効果を生みだすことが可能です。
このアウトソーシングの導入・活用を成功させるためには、導入を検討している該当部署で抱えている問題・課題を把握し、整理した上で、どの業務を委託するべきかを見極めることが重要です。
事務の仕事には、アウトソーシングに適した業務が多く見られます。事務は同じ業務が継続的に発生する定型業務の割合が多いのですが、業務内容が煩雑、意外と手間や時間が必要、ミスは許されない、といった点が特徴です。分類上は「ノンコア業務」と表現していますが、こうした業務は企業利益に直結しないものの、安定的に企業を運営する上で必要不可欠な業務です。
アウトソーシングに適した事務の業務には、次のようなものが挙げられます。一般的にはノンコア業務の中でも反復作業の多い業務です。
経理部門は利益、資産、損益など会社におけるお金の流れや増減を管理する、会社経営の基盤を担う部門です。決算業務や請求・領収書の管理、固定資産や税金など、重要な業務を行います。経理部門でアウトソーシングできる代表的な仕事は、記帳、経費計算、領収書の処理などの日常的に発生する業務から、請求書発行などの月次業務、決算・申告業務、年末調整申請書確認などの年次業務があります。
企業で働くヒトに関する業務を行います。人事部門でアウトソーシングできる仕事の一例には、給与・賞与計算、勤怠管理、マイナンバー管理、社会保険業務、採用業務、社内制度の事務局業務などが挙げられます。
総務は、従業員が快適に働ける従業員サービスを提供します。社内郵便・メールルームの運営や、社内備品の管理、社内イベントや行事まで、会社の中でも最も幅広い業務を行います。アウトソーシングできる業務には、受付、総務カウンター、備品管理・貸出、オフィス管理、防災業務、福利厚生業務、文書管理、社内イベントなどの企画、議事録作成まで多様な業務が挙げられます。
アポイントやミーティング、企画・提案が多く、社内で事務仕事ができない営業職に代わって、必要な事務業務を裏でサポートするのが、営業サポートや営業アシスタントの仕事です。依頼できる業務は、データ入力、請求書発行、電話やメール対応、契約書や資料作成、社内資料の準備、スケジュール管理、売掛・買掛金管理などです。
これまで挙げた以外にも、社内には多くの事務業務があります。依頼できる業務内容は総務事務と重なる部分がありますが、ファイリング、データ入力、データ処理、情報収集、備品管理、発送業務、書類作成、事務局業務などです。
ウェブ・マーケティング業務は、インターネットに関連する業務全般を行います。高度な業務ではITやマーケティングの高度な知識が必要になりますが、一方で煩雑な作業も数多く含まれます。アウトソーシングできる業務には、ウェブサイトの運用、リサーチ業務、文字起こし、一次問い合わせ対応、アクセス解析などが挙げられます。
事務アウトソーシングで期待できる代表的なメリットを3つご紹介します。
ノンコア業務を委託することで、それまでノンコア業務の対応に割いていた時間をコア業務に集中することができます。非定型業務や専門的な知識・判断を必要とする企画業務などへの注力は、業務の生産性が高まりや、これまでにない新しい挑戦・イノベーションの創出が期待できます。
企業規模によっては、総務や人事労務、経理関係の業務を兼務する部署も多いものです。作業から解放され、注力すべき業務や課題に感じている業務に集中して取り組むめるようになることは、従業員のストレス軽減にもつながります。
また、時間に余裕が生まれることで、慣例で行っていた業務フローを見直し、生産性や品質向上に取り組む時間も確保できるようになります。
アウトソーシングの活用は、採用や教育にかかるコスト、管理・監督のためのマネジメントコストを抑えられます。
基本的に、アウトソーシングは雇用契約ではなく業務委託契約が結ばれます。つまり、自社で従業員を雇用する際に通常発生する費用は、アウトソーシング企業が負担することになります。給与は当然のこと、社会保険料や福利厚生費も不要のため、固定費を大幅に削減できます。
また直接雇用する場合、退職や休職が発生すると、その都度、補充が必要になりますが、アウトソーシングであればアウトソーシング企業が代替リソースをすぐに提供してくれます。
多くの場合、自社で人を雇用するよりも、アウトソーシングの方がトータルコストでは安くなるはずです。特に事務業務などのバックオフィス業務のために雇用するのであれば、アウトソースがおすすめです。
アウトソーシング企業は、特定の業務・仕事に特化したノウハウを持ち、そのノウハウをもとに採用・育成したスタッフを抱えています。また、さまざまな企業の業務ノウハウから最適なやり方を構築しているため、専門知識を駆使して効率的かつ効果的に業務をこなします。
単純に業務を代行するだけではなく、スペシャリストが業務改善や体制構築のレクチャーまで行うサービスもあり、業務について多様な角度から見直すこともできます。この点は自社内のみでの運用では得られないメリットです。アウトソーシングでプロのノウハウをつかんで、業務クオリティアップを目指しましょう。
ブラックボックス化とは、業務プロセスを知っているのが特定の人に限定され、いわゆる属人化を引き起こしている状態です。ブラックボックス化に陥ってしまうと、業務がどのように行われているのか把握できなくなります。
問題なく業務が遂行されていれば良いのですが、トラブルが起きたときに対処法がわからなかったり、トラブルが解消されるまでに時間がかかったりする恐れがあります。さらに、ブラックボックス化は不正につながるリスクもあります。アウトソーシングする際には、業務マニュアルの明示や定期的な報告をアウトソーシング企業に求めることが重要です。
自社の機密情報が外部に漏れてしまうことは、大きなリスクです。情報漏洩による企業の信頼失墜や、それに伴う損害賠償等の損失など、周囲への影響は計り知れません。アウトソーシング会社側では、基本的に情報漏洩防止ルールを設定していますが、その基準はアウトソーシング企業によりけりです。
近年では、悪意を持った第三者によるサーバー攻撃も増えています。故意・過失による漏洩でなくても、情報が漏洩する恐れは常に存在しています。アウトソーシングを検討する際には、委託する業務や、取り扱う情報を精査し、アクセス権限の設定や、アウトソーシング企業の管理体制を把握するようにしましょう。
事務業務をすべて委託していると、自社にノウハウが蓄積されない恐れがあります。アウトソーシング企業によっては、業務マニュアルなどは自社の成果物として、顧客先に渡さない会社もあります。
将来的に社内での内製化を想定している業務の場合、委託先にすべて任せていると、その業務について経験値のある人員が育ちません。この変化の激しい時代、アウトソーシング会社の倒産や事業からの撤退リスクもあります。このようなリスクも理解したうえで、どのように活用するか、自社従業員をどのように関わらせるかを検討する必要があります。
実際にアウトソーシングを利用する場合、費用がどれくらい必要なのでしょうか。料金形態と料金相場をご紹介します。
3つの料金パターンについて解説します。
料金パターン1:固定料金
毎月の料金が決まっている形態です。月毎にかかる費用が固定されているのでわかりやすく、業務量に関係なく、毎月決まった料金を支払います。
料金パターン2:従量課金
業務内容や業務量に応じて料金が変動する形態です。スポットで依頼したいときにおすすめです。最終的な費用は、月末に確定します。
料金パターン3:利用期間の長さによる変動制
「勤務日のうち10日間」、「月に20時間まで」というように、利用期間の長短によって料金が変わる形態です。期間が長いほど料金はもちろん高くなります。契約期間内に業務が終了しなかった場合は、自社で対応することになりますので、業務量の見立てには注意が必要です。
料金相場:常駐の場合
自社オフィスに代行スタッフを常駐させる場合にかかる料金は、初期費用、稼動費、技術費、マネジメント費などにより変動します。例えば、2名のスタッフが常駐してフルタイムで働く場合、毎月60万円~のコストが発生します。
料金相場:スポットの代行依頼の場合
スポットで代行依頼する場合の費用は、従量課金制に近い料金体系でコストが決まることが多く、業務量や業務難易度に応じて増減します。例えば書類作成の料金が1枚につき150円の場合、月内に100枚を作成すると、15,000円になります。
企業が事務業務でよく抱える課題に関して、アウトソーシングを利用することで解決した事例を3つご紹介します。
季節業務やプロジェクトの発生によって、業務量が一時的に増える場合があります。その場合に人員が足りていなければ、せっかくのビジネスチャンスを失ってしまいます。社内の人員で対応しようとすると、残業によるコストや従業員ストレスの増加、労働環境の悪化によるモチベーション減少や生産性悪化の恐れがあります。
一方で、業務のトップシーズンに対して人員を確保していると、閑散期には人を持て余してしまい、無駄なコストが生まれます。
必要な期間に必要な人員を調達するには、アウトソーシングで実現可能です。繁忙期や閑散期に影響されずに、人材不足や余剰人員に頭を悩ませることなく、安定的な運営を維持できます。
慢性的に人手が不足していると、事務業務がたまり、処理が追いつかなくなります。仕事が山積みになってしまう状況では、ミスが発生しやすくなります。事務業務には、業務内容が煩雑、意外と手間や時間が必要、タスクは多いがミスは許されない、といった特徴の仕事が多いものです。
こうした問題は、ノンコア業務を外部に委託することで解決できます。膨大で気を遣う作業は手を離れ、コア業務に集中できるので、負担は少なくなり、余裕のある業務が可能になります。
事務業務ではデスクに座って行うデータ処理など、緻密な作業が少なくありません。そのような業務は、作業レベルによっては、予定通りに進まず、プロジェクト自体が遅延することもあります。事務業務の中でも煩雑な作業はアウトソーシング会社に委託することで、その会社が持つ高いスキルやノウハウにより効率的に遂行され、迅速な業務が実現されます。
また、社内の従業員や外部企業(各種業者や下請け企業)とのコミュニケーションも一般的です。アウトソーシング会社のスタッフはある種のサービス業として、丁寧でホスピタリティのある対応を行います。気持ちの良いコミュニケーションや気の利いた対応は、従業員の満足度を向上される一端を担います。
事務アウトソーシングを利用する際には、「何を目的に利用するのか」「発注側と受注側のどちらが、どの業務をどの範囲までやるか」などを決める必要があります。業務内容や業務フローが曖昧な状態で依頼すると、発注側と受注側の認識がずれてしまい、意図していた業務と異なる結果になったり、想定した業務が完了しなかったり、致命的なミスが発生したり、トラブルが起きる可能性があります。業務フローを事前に明確化するとともに、双方の業務範囲についても確認しておきましょう。
情報共有の体制を整えておくことが重要です。すでに挙げたように、事務アウトソーシングを活用する上で、社内にノウハウが蓄積されにくいことが懸念されるからです。そのため、「業務がどのようなプロセスで進められているか」「どのような問題が起きたか」など、毎月や四半期ごとなど、定期的に業務に関する情報を共有できるルールを制定しておきましょう。取り決めがされていれば、アウトソーシング導入後も自社内で業務の流れなど、必要な知識を持つことができます。
バックオフィス業務をアウトソースするということは、少なからず社内の情報を外部業者に提供することになります。そのため、自社が保有する情報の漏洩リスクを最大限に低くする必要があります。社内規程に則り、個人情報取り扱いに関するルールを十分に検討して秘密保持契約を結ぶことはもちろん、万が一情報漏洩が発生した際のエスカレーションフローなど、対応を双方で話し合っておくと安心です。また、委託先を選ぶ際には、セキュリティー体制が整っているかも事前に確認しましょう。
最後に、アウトソーシングの委託先を選ぶ際のポイントをご紹介します。
過去の実績は非常に大切なポイントです。請け負ってきた実績が多いということは、多数の企業が信頼してその企業に委託している証明になるので安心できます。数多くの案件を経験してきた企業だからこそ、豊富なノウハウにもとづくサービス品質を期待できます。
また、実績の豊富さを重視するだけでなく、具体的な活用事例も確認しておくことが大切です。サービスを実際に利用した顧客の話やプロジェクト内容から、「その会社が信用できるか「パートナーとしてどうか」などが判断できます。特に、自社と同じ業種や業界での活用事例は、具体的なイメージがわかるので、検討する際に参考になると思います。
委託する業務を、どのような経験やスキルを持った人が担当してくれるか、という点も大切な判断基準です。事務のようなバックオフィス業務は、単純な作業ばかりではなく、専門知識を必要とする業務が含まれることもあります。そのため、担当する人のスキルレベルが、業務の仕上がりや工数に影響してくるでしょう。
成果物の品質は、実際やってみるまでわかりにくい部分があります。業務遂行に有益な資格の保持人数や、経験業務などの実績を確認することで、業者選びの失敗を可能な限り防ぐようにしましょう。
バックオフィス業務を委託する目的の一つがコスト削減です。そのため、アウトソーシングにかかる費用は一つの重要な指標です。ただし、アウトソースは必ずしも従業員の人件費と単純比較したコストダウンにつながるわけではありません。今まで出来なかったことができるようになる、サービス品質の向上によりコア業務の生産性が高まる、採用・教育面を含めた管理職のマネジメントコストが削減できる、など全体での評価軸での判断が求められます。
まず候補に選んだ企業に見積りを依頼し、自社のシミュレーションと比較・検討してみましょう。トータルコストだけではなく、どの部分にどのようなコストが発生するのか、内訳や算出ロジックにも目を通しておく必要があります。料金の安さをウリにしている企業は、人員や工程、サービス品質など、どこかの部分を削っている可能性があります。単にコストが安い企業には注意が必要です。
社名:Atlas Technologies株式会社
業種:Fintech領域のコンサルティング
設立:2018年1月
従業員数:約50名
Fintech領域のコンサルティングサービスを提供するAtlas Technologies株式会社(アトラス テクノロジーズ)。2022年に東京証券取引所グロース市場への上場を果たし、成長を続けています。
ゼロインはAtlas Technologies株式会社のコーポレート本部において、PCキッティング・在庫管理などの一連の業務を3名体制でお手伝いしています。
入退社や顧客プロジェクトの進捗を契機に発生する上記の業務は、スピード感をもって対応する必要があります。そのため、月に4日程度のオフィス訪問とオンライン対応を組み合わせたハイブリッド型でサポートしています。
Atlas Technologies株式会社様における事務アウトソーシング事例詳細はこちら
「ゼロイン バックオフィス支援事例集」資料ダウンロードはこちら
事務アウトソーシングは、社内の業務効率化、コストマネジメントに有効な手法です。市場の変化が速く、グローバルな競争が加速している現代において、自社の従業員は企業・事業を成長させるコア業務に注力するべきで、アウトソーシング導入でノンコア業務を取り除くことは企業運営の最大化を実現します。
ゼロインは、創業以来20年以上をかけてさまざまな企業で培った、豊富な事務・総務業務のサポートの経験があります。柔軟な業務対応範囲とホスピタリティの高さによる顧客満足度の高さが強みで、委託範囲を明確化するための業務整理や、初めての業務の業務プロセスから構築する業務設計力が強みです。事務業務に関する困りごとがあれば、まずはご相談ください。
「ゼロイン バックオフィス支援事例集」資料ダウンロードはこちら
「5分でわかるゼロインアウトソーシング」サービス資料ダウンロードはこちら