オフィス縮小移転・減床移転の検討時に注意すべき9つのポイント

オフィス縮小移転・減床移転の検討時に注意すべき9つのポイント

残念ながら未だ終息に至らない新型コロナウィルスですが、この感染症は企業のオフィス環境や従業員の働き方にさまざまな影響を与えました。特にテレワークやウェブミーティングが浸透したことでオフィスへの出社人数が減り、オフィス面積を減らすことができるのでは、と感じた企業も多いようです。

オフィスの縮小移転・減床移転や拠点統合による賃借面積の減少は、オフィス賃料を削減し、経営効率の向上につながります。そこで今回は、オフィス面積の縮小・減床を検討する際に注意が必要なポイントを、オフィスのプロの視点から9つご紹介します。

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はじめに

オフィス面積の動向

企業におけるオフィス面積の縮小・減床傾向は、都内全域の実数傾向に表れています。単純に事業縮小や撤退といった事由だけではなく、働き方に合わせたコスト最適化の手段として、面積を縮小しながら、より良い立地、よりハイグレードなビルへと移転するケースもあるようです。他社様が発表されている不動産マーケット動向記事をぜひご確認ください。※外部サイトにアクセスします

大都市圏オフィス需要調査2021春
株式会社ザイマックス不動産総合研究所

東京 – 賃貸不動産市場 2021年3月期
シービーアールイー株式会社

オフィスマーケットデータ 東京ビジネス地区/2021年06月時点
三鬼商事株式会社

オフィス面積縮小のメリット

オフィス賃借面積の縮小メリットは、なんといってもコスト削減です。同じ賃料でも床面積を30%削減すると、単純計算で固定費も3割削減できます。共用設備や維持管理のコストも減らすことができ、コスト削減効果は大変魅力的です。すでに述べた通り、削減可能なコストを活用して、ビルグレードや立地を向上させ、従業員の働きやすさにつなげることもできます。また、すべてのケースに当てはまる訳ではありませんが、社員の距離が近くなることで社内コミュニケーショがより活発になるといった副次効果が生まれる場合もあるようです。

次項では、具体的にオフィスの縮小移転・減床移転を検討する際に注意すべきポイントを紹介していきます。

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オフィス面積を縮小する際の注意点:コスト編

移転コスト

オフィス移転にはさまざまな項目の費用が発生します。(オフィス移転で発生する項目・概算費用についてはこちら)

一時的な費用とはいえ、コスト試算をするとインパクトがかなり大きいので注意が必要です。次に記載するのは、20%の縮小移転をした場合の簡単なシミュレーションです。オフィス移転には賃料以外にも費用が発生しますが、今回は入居工事費用(20万円/坪)と不動産仲介手数料(賃料1ヶ月分)のみを加算しています。

移転前条件:100坪賃借/坪単価2万円
年間賃料:2,400万円(200万円×12ヶ月)※3年で7,200万円、5年で12,000万円

移転後条件:80坪賃借/坪単価2万円(坪単価はそのままに20%の縮小移転)
年間賃料:1,920万円(160万円×12ヶ月)※3年で5,760万円、5年で9,600万円
移転諸費用:入居工事費用1,600万円(80坪×20万円)+仲介手数料160万円(賃料1ヶ月)
総額:3年で7,520万円、5年で11,360万円

その他にも発生する移転諸費用を含めると、坪単価が同程度で面積を20%削減した場合、3~5年程度で考えると逆にコスト増となる可能性もあります。一回の移転にかかる費用が、想定されるコスト削減金額によってどの程度の期間でペイできるのかは、緻密なシミュレーションが必要です。

原状回復工事

前項に近しい費用項目ですが、コストインパクトの大きい項目のため個別で取り上げます。

  • 入居時の造作程度
  • 施工会社
  • 原状回復規定(何をどこまで)

などによって金額は大きく変動しますが、中規模ビル程度で予算策定する場合、概ね坪8万円前後になることが多く見受けられます。正確には移転元オフィスにかかる費用ですので、オフィス移転によって発生するコストとは分けて考えることもありますが、発生タイミングは同じのため、こちらもコスト試算に含むことをお勧めします。

償却

物件の退去時、敷金や保証金の償却が発生することがあります。預け入れていた敷金/保証金のうち、決められた割合が還付されない場合があります。追加支払いが必要な費用ではないという意味で、オフィスの移転コストとは分けられることもありますが、実質的に負担が発生する費用として計算が必要と言えるでしょう。

仮に月額賃料100万円で敷金10ヶ月、償却2ヶ月の場合、入居時に振り込んだ敷金1,000万円のうち、200万円は返還されないということになります。

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オフィス面積を縮小する際の注意点:運用編

感染症対策

東京都では、人流抑制を目的に7割出社を目標としています。オフィス内においても感染症の拡大防止策が求められる中で、テレワーク等で出社が減った人数以上に縮小してしまうと、オフィス内の人口密度が上がる可能性があります。感染症拡大防止の観点から、オフィス内の執務席、従業員同士が適切な距離を保てるよう、ある程度余裕のあるスペースを確保することが求められます。

縮小を検討する際には、対象となる物件で人との距離が十分に取れるか、レイアウトを鑑みつつ物件を検討できるとベストです。

拡張性

オフィスの効率的な活用を追い求めて余剰スペースを削減し過ぎてしまうと、オフィスの拡張性が少なくなります。もし今後、オフィス出社を必要とする従業員の増加や気密性の高い個室の増設が必要になった場合、拡張性が低いと再移転や分室構築が必要になる可能性があります。

その場合、再度発生する移転のイニシャルコストに加え、本来縮小移転しなかった場合に活用できた什器備品/ファシリティとのコスト差も鑑みる必要があります。ある程度スペースの余裕を持っておくことは、変化する働き方や事業・人員計画への柔軟を持たせることができます。

付帯施設

移転先が分割区画等ではない場合において、より小さい床面積のビルへの移転は付帯する設備や共用施設/設備の縮小・ダウングレードにつながるケースがあります。

一番わかりやすいのはお手洗いの数で、男女ともに1名当たりの数が減ってしまったりします。他にもエレベーター数や喫煙室、駐輪場/駐車場といったビルに付帯する設備が、移転前よりも使いにくくなってしまうケースがありますので、注意が必要です。

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オフィス面積を縮小する際の注意点:その他

契約形態変更

縮小に限らずオフィス移転全般に言えることですが、契約形態が定期借家契約になる場合、2回目以降の契約更新において貸主有利な賃料交渉を受ける可能性があります。定期借家契約の場合、契約更新が合意に至らなければ基本的には退去となります。再度の移転を決断するか、多少不本意な条件で賃貸借契約を更新せざるを得ないケースがありますので注意が必要です。

設備/耐震性能

コスト削減を目的とした移転を検討する場合、やはり優位性のある築年数の古いビルは魅力的です。しかし空調、電気、給排水といった基本的なビル設備が経年劣化しているケースがあります。また耐震性能が旧耐震基準のままであるビルもまだ多く残っています。ビルのリニューアル情報などを確認する必要があります。

複数社同居

親しい企業同士で、区画や座席単位での利用を認め、費用の案分を行うケースもあるようです。(※契約上可能か、確認が必須です)

賃貸借費用を案分できることはメリットですが、セキュリティ面などの運用面をしっかり取り決めておかなければ、事故やさまざまリスクが生じる可能性があるため注意が必要です。

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オフィス移転のプロを活用する

まとめ

オフィスの利用率が減っているからといって、単純にオフィス面積を削減するわけにはいきません。固定費の削減という視点と同時に、他に発生するコストや運用面のメリット、デメリット、リスクを正しく評価した検討が重要です。ぜひお気を付けください。

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オフィス移転は確認・検討事項が多いため、なかなか条件を決めきれずに必要以上の労力が発生しがちです。

ゼロインは総務の総合サポート企業です。オフィス移転に際しては、提携する複数の不動産仲介会社からのオフィス物件情報取得、オフィス物件候補の内見同行、オフィスの広さや活用方法の具体的な検討に必要なテストフィット図面の作成、現在のオフィス費用と移転費用を比較したコストシミュレーションなど、オフィス移転の検討段階における悩みを無料でサポートしています。

また、オフィス移転の物件が決定した後の、移転に伴って発生する総務業務のアウトソーシングにも対応しています。オフィス移転では社内外の多くのステークホルダーに対して、さまざまな対応業務が発生します。通常の総務業務にくわえてオフィス移転業務が発生するため、移転プロジェクトに必要な半年から1年程度は総務に大きな負荷がかかります。こうした業務対応は、既存の総務体制のままでの対応は難しく、多くの企業が残業・土日出社での対応に苦慮しています。

オフィス移転の物件探しや、移転に伴う総務業務にお悩みの場合は、ゼロインにご相談ください。

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